潘基文(パン・ギムン)・国連事務総長は1日、ニューヨークの国連本部で日本メディア向け記者会見を開き、8月7〜9日に訪日すると発表した。福島県を訪れて東日本大震災の被災者と交流する予定で、「国連は日本とともにあるという『きずな』を分かち合いたい」と述べた。
国連幹部によると、潘氏は東日本大震災の発生直後から被災地訪問を希望していたが、救援活動や復興の妨げになる可能性を考慮し、日本側と相談して日程を決めたという。7日夕に福島県に入り、津波被害に遭った相馬港を視察したり、「あづま総合運動公園」(福島市)の避難所を訪問したりする予定だ。
潘氏は日本訪問で、国際社会からの連帯の表明に加え、「自然災害時のリスクを減らす方法について、日本が学んだことから教訓を得たい」と述べた。国際社会の今後の貢献についても話し合うという。
8日夕には、菅直人首相や松本剛明外相らと東京で個別に会談する予定。福島第一原発の事故を受けて、原発の安全基準強化について意見交換する見込みで、「原発事故が起きれば国境は関係ない。事故の影響を減らすために国際的な協議は不可欠」と強調した。
首相や外相との会談では、先月独立した南スーダンを支援する国連平和維持活動(PKO)も取り上げ、日本が自衛隊の施設部隊や医療支援チームを派遣するよう直談判するという。潘氏は、昨年1月に巨大地震に見舞われたハイチでの日本の自衛隊による道路建設などについて「偉大な貢献」と指摘し、「南スーダンでも同様の働きがみたい」と述べた。(ニューヨーク=春日芳晃)