東日本大震災後に東京電力福島第一原子力発電所4号機のタービン建屋で男性社員2人が津波に巻き込まれて死亡した事故は、東電が津波によって建屋内まで海水が浸入することを想定していなかったために起きた可能性が高いことが2日、わかった。津波警報による避難指示は屋外の作業員のみで、屋内は対象外だった。
亡くなったのは4号機の男性運転員2人。地震発生直後に4号機タービン建屋のタンクで水位が下がったことを示す警報が鳴った。このため、現場責任者の当直長はマニュアルに従って、点検のために現場に向かうよう指示。2人は現場に向かったところ、津波に巻き込まれた。
東電によると、3月11日午後2時49分に気象庁が大津波警報を出したのを受け、発電所では館内一斉放送で退避指示が出た。屋内でも放送は流れていたが、指示は屋外の作業員が対象で、屋内で作業している人は対象外だった。建屋内に海水が浸入することを想定していなかったという。(坪谷英紀)