東京電力は1日、福島第一原子力発電所1、2号機の原子炉建屋の間にある主排気筒付近で、毎時10シーベルト(1万ミリシーベルト)以上の放射線を測定したと発表した。事故後に測定された放射線では最高値で、一度に浴びると確実に死に至る量だ。放射線源は不明。発電所周辺のモニタリングポストの計測値は上がっておらず、環境中への放射性物質の漏れは確認されていないという。
東電によると、毎時10シーベルト以上が測定されたのは主排気筒の根元付近。原子炉格納容器の圧力を下げるためのベント(排気)の際に気体が通る「非常用ガス処理系」の配管が主排気筒につながるところで測定された。
1日午後2時半ごろ、がれきの撤去により放射線量がどれくらい下がったかを調べるため、防護服を着た作業員3人がこの部分の配管の表面を外側から測定したところ、器具の測定上限である毎時10シーベルトを示した。実際の線量は10シーベルト以上とみられ、管の内部はさらに高い可能性があるという。
作業員の被曝(ひばく)は最高で4ミリシーベルトだった。東電は周囲を立ち入り禁止にして、作業員を近寄らせないようにした。これまでの最高値は1号機原子炉建屋内で6月に観測された毎時4シーベルトだった。
配管は主排気筒につながり、外部とつながっている。東電によると、現在非常用ガス処理系の装置は停止しており、中は気体が流れる状態にはなっていないという。このため、外部へ放射性物質が流出する恐れはないという。観測された配管部分には煙突上部から雨水が入り込み、中にたまっている可能性があるという。
1、2号機では地震発生直後の3月12、13日にベントが行われた。東電原子力・立地本部の松本純一本部長代理は「ベントをした際に放射線量の高い物質が配管に流れ込み、内部にたまっている可能性もある。今後原因を調べる」と話している。(坪谷英紀)