日本からトルコへの原発輸出計画で、トルコ政府が日本との交渉を継続する意向を日本政府に伝えたことが1日、わかった。二国間交渉は昨秋に始まったが、東京電力の福島第一原発事故を受けて中断。菅直人首相の原発輸出戦略の見直し発言などで、日本の姿勢に懸念を抱いたトルコ側は交渉打ち切りを示唆していたが、避けられた形だ。
日本政府は先週末、経済産業省幹部をトルコに派遣。日本政府関係者によると、トルコ側はこの幹部に「今後も日本と交渉していきたい」と語った。幹部は、原発技術や、原発建設に必要な資金調達の支援策など、日本の基本方針を改めて説明したとみられる。
ただ、トルコ側は日本以外の第三国との交渉について「日本との交渉次第」との立場を示したという。日本との交渉が今後前進しなければ、フランスや韓国などと交渉する可能性にも含みを残した。
トルコは、黒海沿岸のシノップ地区に140万キロワット級の原発4基の建設を計画。2019年の稼働を目指している。昨年前半から韓国と優先的に交渉をしていたが、資金面などで折り合わず、昨年11月中旬から日本と交渉を始めた。
日本側は、東芝の原子炉を輸出し、東京電力が原発運転を支援する方針だった。だが、原発事故で東電が、運転支援を見合わせる方針を固め、菅直人首相も7月に原発輸出戦略の見直しに言及。トルコ側が交渉継続に懸念を示し、7月中に交渉方針を明らかにするように日本に求めていた。(小暮哲夫)