東日本大震災で被災した企業が新たな取引先を見つけるのに、三井住友銀行が作った情報交換システムが一役買っている。全国の支店から情報を集め、企業同士を「お見合い」させる仕組み。メガバンクならではの支援策で地方銀行などと差別化する狙いだ。
「震災復興案件マッチングシステム」は5月下旬に稼働した。全国の行員が担当企業を回って聞き取った被災地関連の「○○を売りたい」「××を買いたい」といった要望を入力し、自分が担当する顧客の要望に合う情報を検索できる。
西日本で67店のディスカウントショップを展開する「大黒天物産」(岡山県倉敷市)は、店内に東北産の商品をまとめたコーナーを作って復興を支援しようと三井住友に相談。7月上旬、食品メーカーなど被災地企業14社を紹介された。「自力で被災地の企業を見つけるのは難しい。順次商品を扱いたい」(社長室)という。
被災地では、自社が生産を再開しても従来の取引先がなくなっている例も多く、新たな取引先の開拓が不可欠だ。三井住友はコンビニ大手の「スリーエフ」やイオン系の通販会社「デジタルダイレクト」などにも菓子製造や水産加工の被災地企業を紹介、商談が進んでいるという。
システムには現在約120件の要望が登録され、津波で社用車が流失した企業にレンタカー業者を紹介したり、被災地の建築業者に県外の下請け業者を紹介したりと活用例は様々。担当者は「メガバンクの強みを生かした復興支援で、東北での融資シェア向上に努めたい」という。(上栗崇)