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2011年8月1日5時11分
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原発事故、自治体の損害も賠償 税収減は対象外 紛争審

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 東京電力の原発事故に伴う賠償の目安を定める政府の原子力損害賠償紛争審査会は、放射性物質による汚染で地方自治体が受けた被害を賠償対象に含める方針を固めた。8月5日にまとめる予定の中間指針に盛り込む。

 自治体が被った損害のうち、上下水道事業や病院事業など、自治体の収益事業で生じた損害は、私企業が被った損害の賠償基準に照らして賠償する。公営企業と私企業とを区別して賠償範囲を定める理由がないと判断した。

 審査会は放射性物質の影響で価値が下がったり、失われたりした物の損害を賠償対象とする方針だが、自治体が持つ財産も賠償範囲に含める。被害者を支援するため、自治体や国が肩代わりして負担した費用も賠償対象と認める方向だ。

 福島第一原発周辺の市町村では、住民の避難によって税収の落ち込みが見込まれるが、税収の減少分は賠償対象から外す方針。「税収見積もりはあくまでも期待値。実際の税収は景気変動などの影響で大きく変わるもので、税収減を救済対象にするのは難しい」(審査会委員)と判断した。

 原発の周辺住民が受けた損害では、局所的に放射線量が高い場所(ホットスポット)のうち、政府が指定した「特定避難勧奨地点」の住民の避難費用や精神的苦痛、企業の営業損害などの賠償も認める。避難指示の対象区域や、特定避難勧奨地点の区域内にとどまっている住民の被曝(ひばく)検査の費用なども賠償する。

 避難指示の解除から相当期間が過ぎた後に生じた避難費用は原則として賠償対象から外す。避難指示の対象外だが、被曝を恐れて自主避難した住民への賠償についてはさらに検討する。

 また、福島県南相馬市が独自の判断で市民に一時避難を要請した際の損害も、賠償範囲に含める。健康状態が悪化していなくても、持病のある人や高齢者が、避難生活による健康悪化を防ぐために払った治療費の増加分も賠償対象となる。

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