現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 特集
  4. 東日本大震災
  5. 記事
2011年8月1日1時26分
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

節電1カ月 効果くっきり 東電、7月使用率9割超えず

図:東京電力の電力の推移拡大東京電力の電力の推移

 電気事業法に基づく「電力使用制限令」が東京、東北両電力管内に発動されてから、7月31日で丸1カ月。家庭を含めた節電の効果と、最高気温が比較的低めに推移していることで、電力需給は余裕のある日が続く。ただ、政府の節電要請は、関西電力管内など西日本にも広がり、企業は対応に四苦八苦。節電の夏は本番を迎えている。

 制限令の発動は1974年以来、37年ぶり。大規模な工場やオフィスビルなど大口需要家に平日、最大電力を昨夏より15%削減することを義務づけた。家庭や小口需要家にも、努力目標として15%削減を求めた。

 東京電力管内の今夏の最大電力は、7月15日の4627万キロワットが最高。昨夏のピークと比べると2割以上低い。供給力に対する電力の使用率は、6月29日の93%が今夏の最高で、7月は9割を超えた日がない。東北電力管内でも、節電や震災の影響で昨夏よりも需要が少なく、使用率の最高は7月9日の94.6%にとどまる。

 定期検査で停止中の原発を再稼働できない影響で、政府は7月20日、関西、北陸、中国、四国、九州の各電力管内にも、節電を要請した。政府に10%以上の節電を求められた関電管内では、やはり使用率が9割に届かない日が続いている。

 東電によると、7月は電力需要の大きい東京で最高気温35度以上の猛暑日が少なかったことに加え、企業の節電効果が大きい。昨夏の東電管内の最大電力は6千万キロワットだが、平日に休んで土日に操業する「休日振り替え」は、200万キロワット前後の削減効果があるとみられる。

 自動車業界は木金に休み、土日に操業。さらに日産自動車は、東電管内で原則、午後2〜5時の車両組み立てをやめた。それでも、電気自動車「リーフ」の電池を増産する座間事業所(神奈川県)では7月初め、想定した使用電力を超えそうになり、事務棟のエアコンを何度も止めた。現在、東電管内の事業所全体でみると、25%減を達成している。

 ただ、自動車業界は東日本大震災後の部品不足から立ち直り、今後は増産する計画で、「一つの業界では節電にも限界がある」(日産)との声が漏れる。

 日立製作所も、事業所ごとに輪番で平日に休み、土日に操業している。子どもの預け先に困っている社員らのため、茨城など1都3県の事業所12カ所に無料の臨時託児所を設けた。1カ月間で、約200人が利用。夫婦で水戸事業所(茨城県)に勤める田島さちえさん(36)は「余震が心配なので、近くに託児所があるのは安心」と話す。

 休日振り替えをしない企業も、節電に追われる。ソニーは震災後、工場やビルごとに使用電力を監視するシステムを稼働。設定した上限を超えると警告音が鳴る。電力使用が急上昇した猛暑日には、冷房を階ごとに輪番で止めた。

検索フォーム

朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介

東日本大震災アーカイブ

グーグルアースで見る被災者の証言

個人としての思いと、かつてない規模の震災被害、その両方を同時に伝えます(無料でご覧いただけます)

プロメテウスの罠

明かされなかった福島原発事故の真実

福島第一原発の破綻を背景に、政府、官僚、東京電力、そして住民それぞれに迫った、記者たちの真実のリポート

検索

亡くなられた方々

| 記事一覧