広島、長崎の「原爆の日」を前に、原水爆禁止日本国民会議(原水禁)などが31日、福島市で世界大会を開いた。東京電力福島第一原発の事故を受け、原発立地県で初めての開催。800人を超える参加者があり、「脱原発」を前面に打ち出した。
「私の運動への熱意は核兵器廃絶に偏りがちだった。反原発への取り組みが弱かった」。長崎の被爆者、川野浩一議長は冒頭のあいさつで反省を述べた。その上で「この原発事故を最後にしましょう。『ノーモア・フクシマ』と叫びましょう」と呼びかけた。
講演したルポライター鎌田慧さんは「原発反対で運動してきたが、社会を変える力になっていなかった」と振り返った。1954年の「第五福竜丸事件」の際、乗組員だった大石又七さんは講演で、「原発は核兵器と同じ危険性を秘めている。原発はなくすしかないと認識すべきだ」との思いを訴えた。
その一方で、「脱原発」へと明確にかじを切れない参加者もいた。福島県飯舘村の佐藤健太さん(29)は、今はまだ原発の是非まで踏み込んで考える余裕がないという。
ただ、できることをやろうと、長期間にわたって健康調査をするよう県などに求める活動をしている。大会に先だって開かれた県民集会では「子どもたちの未来のために、今、行動しなければ」と呼びかけた。
今回の世界大会では、若い参加者が少なかったのが気になった。「踏み出さないと何も変わらない、と伝えていきたい」
世界大会では「原発も基地も戦争も、合意なき『国策』として『命』を軽んじてきた。『命』を守るため福島から声を上げ、大きな行動に結びつけよう」とのアピールを採択した。大会は8月4〜6日に広島市、7〜9日に長崎市、11日に沖縄県でも開かれる。