放射性物質が人体に与える影響を検討していた食品安全委員会の作業部会は26日午前に会合を開いた。「悪影響が見いだされるのは、生涯の累積で100ミリシーベルト以上」とする結論をまとめる。平時から浴びている自然由来の放射線量は除く。今後パブリックコメントを経て、同委は8月下旬にも厚生労働省へ答申する。
福島第一原子力発電所の事故を受けて、健康影響が明確になる被曝(ひばく)総量の目安を政府機関として示すのは初めて。答申が出れば、厚労省は食品の基準を改めて検討し直すことになる。
現在、食品の流通を規制するために使っている基準は暫定値。科学的な根拠を得るため、厚労省が食品安全委に諮問していた。
同委は当初、食品だけからの被曝レベルを検討していたが、「健康影響は内部被曝と外部被曝を分けられない」と判断し、外部被曝も含めた生涯の累積線量を示すことにした。ただ自然由来の放射線量は除く。子どもは成人より「影響を受けやすい可能性がある」とする。
これまで国などは、被曝と健康影響の関係について、国際放射線防護委員会(ICRP)の考え方や専門家の意見を参考に「100ミリシーベルトで発がんリスクが0.5%上がる」などと説明してきた。同委はこうした見解の基になった論文を調べ、同委の結論として示す。