2011年7月18日8時20分
仙台市に東北6県の夏祭りが一堂に集まった「東北六魂(ろっこん)祭」は、16、17両日で予想の3倍以上の人出となった。初日はパレードの一部が中止になり、コースを縮小した17日も予定を変更する事態に。東日本大震災からの復興を願うイベントは、運営面で大きな課題を残した。
17日のパレードは、当初の計画を変更して、会場となる「定禅寺通」の東向き車線だけを使い、西向きの車線を観覧スペースとして開放して実施した。警備スタッフは60人増やして310人態勢に拡充。仙台中央署も70人増の190人で警備に臨んだ。2カ所だった救護室も3カ所に増やし、救急車2台もあらかじめ会場に配備した。
それでも、17日正午前にスタートしたパレードは、開始45分後に車道に人が入り込んだため5分間ほど中断。パレード自体も大幅に遅れたため、通りを往復する予定を変更し、復路は取りやめた。「秋田竿燈まつり」の演舞も一部中止した。
実行委員会は当初、1日当たりの来場者数を5万人と予想していた。毎年8月に開かれる仙台七夕まつりのパレード「星の宵まつり」で訪れる2万人という実績を元に算定した。「今回は6県の祭りが集まるので、その2.5倍を見込んだ」(実行委)という。しかし、16日は13万3千人、17日は23万3300人と、結果は予想の3.6倍だった。
実行委関係者によると、当初は秋に音楽祭やフリーマーケットをメーンイベントとして開く構想だったが、東北の夏祭りを一堂に集める構想となり、開催時期も秋から夏に前倒しになった。少しでも早く自粛ムードを払拭(ふっしょく)したいという思いに加え、「本番に向けたPRの場にしてもらいたかった」(実行委関係者)という思惑があったという。
仙台中央署によると、警備計画についての相談は6月初旬になってからだったという。山村英次署長は「初めてということもあり、来場者の予想を立てるのが非常に難しかった。主催者側の見込みに基づいて計画したが、実際には来場者があまりに多く、現場で対応が出来なくなった」と話す。
実行委の間庭洋幹事長は「これほど多くの人が来るとは想像もしていなかった。人出を予想する算定基礎もなく、不完全燃焼のような形になってしまった」とコメント。奥山恵美子・仙台市長は「今の東北を応援しようという気持ちが多くの人にあることが分かり、感動した」とする一方で、「応援を運営面で支えきれなかったことは、反省しおわび申し上げたい」と謝罪した。