2011年7月15日15時17分
福島県浅川町から出荷された肉用牛の肉から基準超えの放射性セシウムが検出されたことから、厚生労働省は15日、福島県全域の牛の出荷停止を検討するよう原子力災害対策本部(本部長・菅直人首相)に要請する方針を決めた。汚染肉の流通で各地で混乱が生じているとして厚労省はいったん出荷を止めたうえで、福島県に検査態勢などを整えてもらいたい考えだ。
福島県は緊急立ち入り検査が終わる18日ごろをめどに、県内すべての肉用牛の出荷や移動の自粛を農家などに要請している。ただ、厚労省は18日までに、出荷調整や検査態勢を整備するのは難しいとみている。
出荷停止の対象範囲は南相馬市と浅川町という離れた場所で汚染した牛が見つかったことやわらの汚染も広い地域に及んでいる可能性があるため、福島県全域で検討してもらう予定だ。
一方、細川律夫厚労相は15日の閣議後の記者会見で、福島県が方針を示している牛の「全頭検査」について「県全域も含めて検討しなければならない」と述べた。厚労相はこれまでは「地域を区切って」とし、緊急時避難準備区域や計画的避難区域を想定していたが、今回、両区域の外で高濃度の汚染が判明したことを受け、拡大する必要性を示した。
ただ厚労省は、出荷停止をかけた期間であっても、福島県内のすべての肉用牛を同県内で検査するのは、検査態勢などから難しいとみている。県外で検査するとすれば他の自治体の協力を得ることが課題となる。
また、細野豪志・原発担当兼消費者担当相は閣議後会見で「大変ゆゆしき事態。今後(放射性物質の)基準値を超えるモノを流通させない仕組みをどう作るかがカギだ」と話した。