2011年7月7日21時49分
海江田万里経済産業相は7日、担当する原子力発電所事故関連の法案の成立に見通しが立った段階で辞任する意向を表明した。停止中の原発の運転再開をめぐる菅直人首相の方針が二転三転していることに不満を募らせ、辞任表明した首相が在任を続けることにも反発している。
首相は震災復興や原子力政策改革などを掲げて政権運営になお意欲を示しているが、松本龍・前復興担当相に続き原子力政策担当の海江田氏が辞任すれば、政権運営は一層難しくなる。
海江田氏は、首相が辞任の条件に挙げる第2次補正予算案、特例公債法案、再生可能エネルギー特別措置法案に加え、原発事故賠償の枠組みを定める原子力損害賠償支援機構法案などの成立にめどがつけば、菅政権が続いていても途中辞任する意向。8月中旬までに踏み切る可能性がある。
海江田氏は7日夕、経産省で記者団に対し、「時期が来たら責任をとる」と明言。辞任時期について「賠償支援法案の成立が節目か」と問われ、「私の中でそういう時期が到来したらということだ」と述べた。
同日午前の参院予算委員会では、菅政権が全国の原発で行う安全性評価(ストレステスト)に九州電力玄海原発の地元などが反発していると指摘され、「時期が来たら責任を取らせていただく」と答弁。辞任は安全性評価をめぐる政権の対応の混乱の責任をとるためだと示唆した。質疑後、同委民主党理事の川上義博参院議員に「私は辞めます」と語ったという。
原発の運転再開をめぐり、海江田氏は経産省原子力安全・保安院を通じて3月末と6月初旬に緊急安全対策を電力会社に指示し、6月18日に対策の結果を「適切」と発表。同月29日に佐賀県玄海町を訪れ、定期検査中の玄海原発の運転再開への理解を求めた。ところが、首相が急きょストレステストを指示。夏の運転再開は先送りの見通しとなり、海江田氏との間に対応のずれが出ていた。
一方、首相は7日の参院予算委で、電力会社から送電部門を切り離す「発送電分離」について「電力事業の根幹に関わる。徹底的な議論、検証が必要でその姿勢は変わらない」と、実現に意欲を示した。さらに「原子力エネルギーへの依存を白紙にし、再生可能エネルギーと省エネルギーを大きな柱にしていくことを提起している。社会のあり方を選択することになるので、国民の意思で決めるべき大きな課題だ」と述べ、エネルギー政策の方向性が次期国政選挙の争点になるとの考えを強調した。