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玄海町長、原発再開容認を撤回 九電社長に電話で伝える

2011年7月7日15時5分

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写真:政府によるストレステストや九州電力の「やらせメール」問題について会見する玄海町の岸本英雄町長=7日午前10時4分、佐賀県玄海町、関田航撮影拡大政府によるストレステストや九州電力の「やらせメール」問題について会見する玄海町の岸本英雄町長=7日午前10時4分、佐賀県玄海町、関田航撮影

 九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開問題で、岸本英雄町長は7日、緊急の記者会見を開き、4日に九電社長へ伝えた再開容認を撤回する方針を発表、続く町議会原子力対策特別委員会で議会の同意が得られたとして、閉会後、九電の真部利応(まなべ・としお)社長に電話で撤回を伝えた。東日本大震災後、停止中の原発の運転再開を認める意向を立地自治体の首長が電力会社に伝えたのは全国で初めてだった。

 岸本町長は会見で、6日に政府が全国の原発で安全性評価(ストレステスト)をすると発表したことや、同日に発覚した九電の「やらせメール」問題に不信感を募らせたと説明した。特別委では「国と九電の行為は大変許し難い。運転再開の容認については全面撤回したい」と表明。委員からは「運転中の1、4号機も止めるよう九電に申し入れたらどうか」との厳しい意見も出た。岸本町長は「新首相の下でないと運転再開を判断しづらい」とし「私自身もストレスがたまり、ストレステストを受けたいぐらいだ」と皮肉った。

 会見では、判断を翻した理由を詳しく説明した。まず、政府が表明したストレステスト実施を挙げ「頭が爆発しそうな感じ」と怒りを表現。「私が九電に再開容認を伝えた2日後の表明ということは、我々は信用されていないということだ」「私の判断は無駄だったと感じた」と批判した。

 次に九電の「やらせメール」問題を挙げ「私は人事管理を徹底するよう九電社長にお願いしたが、それが出来ていないことが明らかになった。原発のヒューマンエラー(人的ミス)にもつながりかねない」と危惧し「信頼関係に亀裂が入った」とまで言い切った。

 更に「テストが終わったからといって、すぐ運転再開か否かを判断することにはならない」と、信頼回復には時間を要することも示唆。「国の判断がおかしいのだから、そのことを説明すれば町民の理解は得られると思う」と話した。

 会見直後の取材では、九電の真部社長から6日午後7時ごろ、謝罪電話があったことも明かした。

 7日に上京した佐賀県の古川康知事は玄海町長の容認撤回について「一度撤回したものをもう一度取り付けるという作業は、これまでと同じ作業をすればいいということにはならない。もう一度同意を取り付けるのは非常に難しくなったと感じている」と話した。

 岸本町長は6月29日、同町を訪れた海江田万里経済産業相に玄海原発の安全性を確認。それを受けて7月4日、九電の真部社長に再開容認の判断を伝えた。

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