2011年6月21日23時6分
会談後、記者の質問に答える大阪府の橋下知事=21日午後3時10分、大阪市中央区の大阪府庁、小林裕幸撮影
橋下知事との話し合いを終え、記者の質問に答える関電の八木社長=21日午後2時46分、大阪市中央区の大阪府庁、小林裕幸撮影
関西電力の八木誠社長は21日、電力不足が想定される今夏の節電対策について、大阪府の橋下徹知事、兵庫県の井戸敏三知事と相次ぎ会談した。両知事と八木氏は夏のピーク時の電力不足を避けるため、関電側が電力需給の状況を常時公表し、自治体も消費者に節電を呼びかけることで合意。橋下氏は、供給力不足で停電の恐れがある場合は自治体側が「警報」を出すことも提案した。
今夏の節電をめぐる自治体と関電の対立は「危機回避」の対応で合意した。だが、原発の再起動などで意見の隔たりは大きく、論争が再燃する可能性もある。
会談では、自治体側から反発が出ていた関電の「15%節電要請」について、八木氏が「需給バランスが崩れ、広域的な停電(になること)を避けたい」と理解を求めた。これに対し、橋下氏は、原発への依存を減らすよう主張したうえで「15%はのめない」と表明した。
一方、井戸氏は、八木氏の説明に対し「家庭と業務用でバランスをとっている」と一定の評価をしたが、両知事とも府県内の企業や住民に15%の節電は求めず、関西広域連合で合意した5〜10%の節電目標を周知していく考えを改めて示した。
橋下氏らによると、知事らと関電が合意した電力需給状況の公表は、関電の供給能力に占める時間ごとの需要量を消費者がリアルタイムでわかるような「色つきグラフ」で示す方法を検討する。
橋下氏は、需要が供給を上回り停電を招く危険が高まれば、テレビ局やネットを通じて警報を流し、家庭やオフィスに電力消費量が多いエアコンを切るよう呼びかける方針を表明。井戸氏も会談後、「ピークカットへの対応は課題」と述べ、2府5県による関西広域連合で対応策を検討すると表明した。
関電は節電方針について、25日の関西広域連合の会合でも重ねて説明する方針。
一方、橋下氏は会談で、新規原発の建設中止や老朽化原発の操業延長停止を改めて主張。しかし、八木氏は「電力の将来的な安定供給の基軸を担うのは原子力」などと語り、双方の溝は埋まらなかった。