2011年6月15日7時0分
原発再開の是非を問うイタリアの国民投票は14日朝までに開票がすべて終了し、原発反対派の票が9割以上を占めて圧勝した。東京電力福島第一原発事故後に欧州で広がる反原発世論の強さが示された。
イタリア内務省によると、在外投票分も含めて開票が全て終わり、原発凍結賛成票が94.05%を占めた。凍結反対票は5.95%。投票率は54.79%に達した。
原発再開を模索していたベルルスコーニ首相は13日夜、「政府と議会は結果を歓迎する義務がある。高い投票率は、自分たちの未来に関する決断に参加したいというイタリア国民の意思の表れで、無視できない」とする声明を発表。「国民投票は複雑な問題を扱うには適さないと信じてはいるが、それでも国民の意思は明らかになった」とし、原発の新設や再稼働を当面断念する意向を表明した。
投票では同時に、首相らの裁判不出廷特権法の廃止も94.62%の賛成で決まった。少女買春疑惑などの裁判を抱える首相には大きな打撃で、野党側は辞任を求めるなど勢いづいている。2013年の首相の任期満了を待たずに、来年に総選挙が早まる見方も出ている。(ローマ=前川浩之)