2011年6月13日23時25分
国土地理院は13日に開かれた地震予知連絡会で、東日本大震災で地盤沈下した沿岸地域の一部で隆起が観測されたと発表した。隆起量はわずかで、このままでは多くの地域で地盤は長期間、元に戻らない、との見方を示した。
地盤は、岩手県と宮城県の県境付近から北では沈降が続いているが、南では隆起傾向がみられた。5月21日までの隆起量は、地震時に約120センチ沈下した宮城県の牡鹿半島が8センチ、約50センチ沈下した福島県いわき市で2.4センチ、約30センチ沈下した茨城県日立市は1.2センチ、約15センチ沈下した千葉県銚子市で6.9センチだった。
隆起は、「余効変動」と呼ばれる地震後に震源域の周辺がゆっくりと動く現象によるとみられる。
大きく沈下した地盤がどこまで回復するかは復興計画にもかかわるが、沈降量に比べて隆起量は小さい。銚子市では、4年で戻る計算だが、ほかの地域では見通しは立たないという。
一方、余効変動が大きくなって地盤は回復するという予測も示された。東京大の池田安隆准教授は、沿岸には、過去に繰り返した巨大地震後の隆起でできたとみられる「海岸段丘」があり、今後は、隆起して回復するとの見方を示した。(瀬川茂子)