2011年6月13日15時6分
東京電力福島第一原子力発電所にたまり続けている高濃度の放射能汚染水の浄化処理施設は、当初計画していた本格稼働が15日から遅れることが確実になった。汚染水対策の「切り札」的な施設だが、準備中に水漏れや水が流れなくなる不具合が続発。さらに稼働が遅れれば、汚染水の新たな保管場所が必要になってくる。
同原発1〜3号機では原子炉に注入した水が、タービン建屋地下などに漏れ出ていると見られている。大量の放射性物質を含むので、海へ流れ出ないよう一部を集中廃棄物処理施設などへ移送してきた。
浄化処理施設は東芝や仏アレバ、米キュリオンなどがつくったもので放射性物質の除去や淡水化などをする。本格稼働すれば1日1200トンの処理が可能。放射能レベルを1千〜1万分の1程度に下げられる。処理後の水は仮設タンクに貯蔵するほか、原子炉に戻して循環させるシステムの構築もめざす。
このうち放射性セシウムなどを取り除く米キュリオンの設備で10日、配管の継ぎ目からの水漏れや、ポンプを操作するコンピュータープログラムに不具合が判明。さらに11日夜、同施設の通水試験で4系統のうち1系統で水がうまく流れなくなった。配管の弁の開閉で操作ミスがあったとみられている。
本格稼働の前には、当初5日間かけて低濃度の汚染水で試運転する計画だったが、15日までに終えることは難しくなった。東電は13日、試運転を14日から始めて期間を4日間に短縮し、17日か18日に本格稼働できるよう取り組むことを明らかにした。
同原発にある汚染水は全体で推計10万5100トン(5月末現在)。集中廃棄物処理施設などへ移送した汚染水も含まれるが、すでに容量はほぼ満杯だ。
東電によると、6月下旬までは水位がいっぱいになることはなさそうだというが、大雨などで汚染水が増えると、しみ出す恐れもある。(西川迅)