2011年6月11日3時0分
岩手、宮城、福島3県の被災42市町村長に朝日新聞がアンケートしたところ、6割余りが被災者の生活再建の見通しが立っていないと答えた。基幹産業の農業・漁業の再開のめどが6割前後の自治体で立っておらず、原発事故も収束していないためだ。最優先課題には約7割が「雇用の確保・創出」をあげた。11日で東日本大震災の発生から3カ月。被災者支援に有効な対策を打ち出せない国への不満が根強い。
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42市町村は、津波被災地や東京電力福島第一原発の事故による避難対象。
生活再建の見通しが「全く立っていない」「ほとんど立っていない」と答えた首長27人のうち、福島県内が13人を占めた。県内外に避難した住民の帰宅のめどが立たず、復興へ踏み出せない状況がうかがえる。
街づくりでは、4割近く(15人)が被災地の住宅や商・工業施設のすべて、または一部について高台や放射能の非汚染地域に移転する方針を明らかにした。
集団移転について態度を決めかねている首長も多く、「被害が甚大な地域では住宅地などを移転」(仙台市)、「漁業者は海のそばに住みたいだろうし、高台に集団移転したい人もいる。住民の希望に応じる」(宮城県七ケ浜町)など検討中の首長もいた。
解決すべき、最も優先度が高い被災者の生活課題を三つまで選んでもらったところ、「雇用の確保・創出」が最多で29人。「被災者の生活資金支援」「仮設住宅など住まいの確保」と続いた。福島県内の首長に限ると、15人中13人が「原発事故の早期収束・安全確保」を選び、トップだった。
菅政権の震災対応については「評価しない」「あまり評価しない」が8割近く(33人)を占め、「評価する」はなかった。「民主党内で権力闘争。(政権と被災地の思いが)決定的に乖離(かいり)している」(宮城県気仙沼市)、「スピード、スタンスともいま一つ信頼がおけない」(福島県新地町)など厳しい意見が目立った。
がれきがほとんど残ったままとする首長は約3割(13人)、仮設住宅の整備が政権目標の8月中旬に間に合わないと答えた首長は3人(宮城県女川町、福島県南相馬市、広野町)おり、復興の進み具合に差が出始めている。復興の目標期間は「5〜10年」(19人)が最多。次いで「5年」が13人、「3年」が5人だった。「10年以上」も2人(岩手県大槌町、南相馬市)いた。