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関電、15%の節電要請へ 原発停止で電力不足の懸念

2011年6月10日9時11分

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 関西電力は10日午前、近畿中心に2府7県(福井、三重、岐阜3県の一部を含む)の供給地域で、企業や家庭に対し、7月1日から昨夏比で15%程度の節電を呼びかける方針を決め、発表した。定期検査で停止中の原発の運転再開の見通しが立たず、福井県にある関電の原発全11基のうち夏に6基が使えない可能性が高まったためだ。

 節電を呼びかける期間は7月1日から9月22日まで(8月12〜16日は除く)の平日午前9時から午後8時。販売電力量の約3割を占める工場などの大口需要家から一般家庭まで、例外なく節電を呼びかける。関電による節電の要請は第1次石油ショックが起きた1973年以来。東日本から西日本への生産移転や代替の動きにも影響しそうだ。

 関電によると、今夏も昨夏並みの猛暑となれば、ピーク時の電力需要に対して約6.4%の供給能力が不足する。安定供給に必要な余力を5%ほど確保しつつ、さらに一定の余裕も見込んで15%程度の節電幅としたという。

 関電の八木誠社長は10日午前の記者会見で「原発の稼働時期が見通せない中で夏が目前に迫り、苦渋の決断をした。15%程度の節電ができないと、停電が起こる」と話した。7月以降、東日本や中部電力への電力融通もしないという。

 政府は東京、東北電力管内でピーク時の最大使用電力を一律15%減らす節電計画を決定しており、関電の計画はこれに準じる。ただ東日本では大口需要家に電気事業法に基づく「電力使用制限令」が発動され、故意の違反には罰則もあるのに対し、関電の計画はあくまで自主的な取り組みを促すもの。九州電力も同様の要請を検討している。

 関電は当初、この夏の最大電力需要を3037万キロワットと見込み、供給能力が3381万キロワットで需要を11.3%上回るとしていた。8〜10%が標準とされる余力を十分確保できる計算だった。

 だが、定期検査で停止中の原発4基の再開に地元の福井県の同意が得られる見通しが立たず、7月末に定期検査に入る2基をあわせた計6基が停止する見通しで、供給力が大きく低下する計算だ。

 八木社長は「原発の運転再開へ全力で国と取り組んでいく」と述べ、今後も節電の要請と並行し、運転再開をめざす考えを強調した。一方、停止中の4基が稼働すれば、節電要請の必要はなくなるとした。

 関西ではすでに、独自の節電の動きが広がっている。7府県でつくる関西広域連合は、家庭やオフィスでの節減を呼びかける方針を決め、空調・照明などの節電策を例示して「5〜10%の電力削減は可能」と打ち出した。企業でも消費電力の少ないLED電球への交換や、始業時間を早めるサマータイム制の導入などが一部で始まっている。

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