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義援金、被災者へ届いたのは15% 2次も配分変更なし

2011年6月7日1時15分

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図:義援金が被災者に届くまで拡大義援金が被災者に届くまで

図:義援金の分配基準拡大義援金の分配基準

 東日本大震災で日本赤十字社(日赤)や中央共同募金会(共募)に寄せられた義援金の配分を決める義援金配分割合決定委員会(堀田力会長)は6日、第2次配分も第1次と同じ配分割合にすることを決めた。支給水準は上がる見込み。一方、第1次分も含めた総額2500億円の義援金のうち、被災者の手元に届いたのは15%にすぎない実態も明らかになった。

 決定委には日赤と共募、被災した15都道県の代表者が参加した。厚生労働省の報告によると、3日までに集まった義援金は総額2514億円。このうち支給対象が決まり、すでに都道県に送られた823億円を第1次分とし、残る1691億円の第2次分の取り扱いを議論した。

 自治体による被害の確認作業が進まず、これまでに被災者に支給されたのは370億円。そこで支給額を一律にする案も検討されたが、結局、住宅が半壊した世帯への支給額を全壊世帯の半分程度にするなど、第1次分と同じ配分割合に決めた。一律支給で換算すると1事案あたり46万〜53万円で、第1次より多くなる見通しだ。また、福島第一原発から半径30キロ圏より外の住民でも、計画的避難区域に住宅があれば義援金を配る方針も確認された。

■自治体、一律支給案に反発

 東日本大震災の被災者を支援しようと全国から集まった義援金が、自治体レベルにもまだ3分の1しか渡っていない。こうした実態を解消しようと、厚労省は被災状況にかかわらず支給額を一律にすることを提案。だが、自治体から反発を受けて見送りになった。

 4月に決めた第1次配分では、住宅の被害で全壊なら35万円、半壊なら18万円と支給額に差をつけた。このため被害の認定に時間がかかり、支給遅れにつながったとの指摘がある。6日の配分割合決定委の会合では、宮城県の代表者が「行政能力を全く失った自治体もあり、建物の被害把握がまだ進んでいない」という実情を報告した。

 そこで厚労省が提案したのが一律支給案だ。5月30日の衆院震災復興特別委員会で野党から「配分の差が支給遅れにつながっている」と追及された細川律夫厚労相が、被災の程度にかかわらず支給額を一律にすべきだという考えを表明。これを踏まえたものだ。

 ところが、この日の会合では、当の自治体側から反対意見が相次いだ。宮城県の代表者は「第1次と配分割合が異なると、被災者に合理的な説明ができない」と主張。岩手県の代表者も「1次配分と同じにしてもらいたい」と同調した。被害が大きい2県からの要請に、堀田会長は「第1次と同じ方が望ましい」と議論を引き取って決着した。

 堀田会長は「迅速かつ公平な配分を」と求めたが、支給を早める効果的な策を打ち出すことはできなかった。宮城県の代表者は「人的被害の数字はようやく落ち着いてきたが、住家の被害はまだ増え続けている」と分析。最近になってようやく義援金の申請を受け付け始めた自治体もあり、被災者の手元にいつ届くのかは、不透明なままだ。(有近隆史)

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