2011年6月7日0時0分
岩手県の山田湾は、何千ものカキ養殖の筏(いかだ)に覆われる穏やかな海だった。今わずかに残る筏は壊れ、あちこちに団子状となって漂う。湾沿いの山田町は、約3千棟の住宅が津波にのまれた。3月から不明者を捜しているNPO「大雪りばぁねっと」(岡田栄悟代表理事)のメンバーとともに、記者が湾に潜った。
初夏の日差しが注ぎ始めても、海水温は10度ほど。いまも、濁りが残る。海底はねっとり、津波に運ばれた泥の感触だ。津波にのまれた家が浮かび、生活の跡が海底に散らばる。海上で船を走らせ、海の中に潜り、行方不明者の捜索は続く。(中山由美)