現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 特集
  4. 東日本大震災
  5. 記事

被災者の集団移転、補助拡大 国が大半負担 住宅以外も

2011年6月5日3時1分

印刷印刷用画面を開く

Check

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 国土交通省は、東日本大震災の被災者の集団移転を促すため、病院や学校、スーパーなど商業施設の移転にかかる費用の大半を国が負担する方針を固めた。現在は住宅に限って移転費を補助しているが、安全な地域で新しい街づくりを進めるために範囲を広げる。

 防災集団移転促進特別措置法を改正し、今夏にも編成する第2次補正予算案に盛り込みたい考えだ。成立すれば、東日本大震災に限らず大規模災害時に適用される。

 被災した自治体は、再被害のおそれが強い地域を国の同意のもとで「移転促進区域」に指定し、住民(10戸以上)に別の地域への移転を促す。現行法では、被災した土地の買い取り費や移転先の宅地造成費、新居の購入時に組む住宅ローンの利子などを対象に、自治体が補助した金額の4分の3を国が支払う。さらに自治体の借金を地方交付税で負担する分も含め、実質的には費用の9割超を国がもつ。新潟県中越地震では計115戸が移り、自治体は1戸あたり1千万円超を支出した。

 今回、補助対象を病院や特別養護老人ホームなどの福祉施設、私立学校も含めた教育機関などに拡大。国交省はこれらの施設についても国の負担割合を住宅並みの9割超にするよう、財務省と協議する。今回の震災では約11万戸の住宅が全壊。仮に1割が移転したとすれば、住宅分だけで1千億円以上の事業規模になる見通しだ。

 国交省は5月から青森や岩手、宮城、福島など6県62市町村で、津波で浸水した市街地の調査を開始。防災工事をすれば安全に暮らせる地域、移転すべき地域などに分け、8月にも市町村に示す。自治体はこれを参考に、市街地の再生計画をつくる。

 菅政権内には、高台を削って集団移転する構想もある。その場合は大がかりな工事が必要で、「移転費が大幅に増える」(国交省幹部)のは確実。事業規模が数千億円にふくらむとの見方も出ている。(内藤尚志)

検索フォーム

朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介

東日本大震災アーカイブ

グーグルアースで見る被災者の証言

個人としての思いと、かつてない規模の震災被害、その両方を同時に伝えます(無料でご覧いただけます)

プロメテウスの罠

明かされなかった福島原発事故の真実

福島第一原発の破綻を背景に、政府、官僚、東京電力、そして住民それぞれに迫った、記者たちの真実のリポート

検索

亡くなられた方々

| 記事一覧