2011年5月31日20時48分
福島県内の積算放射線量
放射線の影響を心配する声が出ている福島県内の学校生活について、文部科学省は31日、専門家から意見を聞く会合を開いた。校庭を利用できるか判断する暫定基準について、国際的に合意された値との評価が出された。一方で、保護者の不安を除くため、正しい情報をきちんと伝える必要があるとの指摘も相次いだ。
出席したのは、放射線防護が専門の長瀧重信・長崎大名誉教授、社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所の衛藤隆副所長、日本小児心身医学会の田中英高理事長、早稲田大スポーツ科学学術院の友添秀則教授。
放射線量の暫定基準について文科省は、年間被曝(ひばく)量を1〜20ミリシーベルトの範囲で考える国際放射線防護委員会(ICRP)の指標を参考に、1ミリシーベルトをめざすとしている。
長瀧氏は「国際的な合意に基づいたもの」と説明。不安解消には「情報開示と説明、住民とのきめ細かい対話が必要」と話した。衛藤氏も「観測データをただ出すだけでなく、自分の置かれている状況が理解できるように伝えるべきだ」と指摘した。
田中氏はチェルノブイリ原発事故の影響を例に、放射線への過度の不安が子どもの心身に不調を引き起こすとの研究報告を紹介した。部活動などを過度に制限することへ精神的な影響を心配する声も出された。(佐藤久恵)