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大学もせっせと節電 夏休み前倒し・スパコン抑制

2011年5月31日17時20分

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 教室の照明やエアコンに、大規模な実験設備。電気の大口消費者でもある大学が、今夏の節電に知恵を絞っている。教育や研究をおろそかにせず、どこまで削れるか。サマータイムの導入や夏休み前倒しに加え、便座の保温をやめるなど地道な努力もある。

 東京大学の電気代は年間約35億円で、東京電力管内でトップ級の消費量だ。震災後は、おおむね大学全体で4割削減しているが、さらにピーク時の電力使用量を前年より3割減らす目標を掲げる。

 東大によると、電力消費の内訳は、空調35.5%、照明17.9%に対し、実験機器32.5%。研究、教育の質を落とさずに節電できるかは、空調と照明をいかに抑えるかにかかっている。

 夏場の空調は28度に設定し、照明機器を3分の1程度に削減。小型冷蔵庫の中身を大型冷蔵庫に集めて全体の稼働台数を減らし、トイレの便座や洗浄水の保温をやめている。古いコンピューター機器を電力消費の少ないノートパソコンに替えたり、研究用のスーパーコンピューターの能力を半分に抑えたりして、電力使用を抑えている。

 また、リアルタイムで電力使用状態を確認できるよう、本郷キャンパスの建物をネットワーク化して、研究科・学部ごとの使用量をグラフで示す試みが工学系を先頭に始まった。

 前田正史理事は「大学病院や教育・研究の機能を維持しながら、なるべくほかの空調・照明で目標を達成したい。古くなった機器も更新すれば、将来的には省エネ化ができる」と話す。 東京農工大は「優秀な節電アイデアには最高10万円」と銘打ち、学生から省エネ・節電アイデアを募っている。懸賞金総額30万円を用意し、「募集を通じて節電意識の向上を期待したい」という。

 同大は6月20日から8月9日まで「サマータイム」を導入し、授業の開始時間を45分繰り上げる。早く授業を終わらせ、夕方から夜にかけての消費電力を少なくするのが狙いだ。担当者は「様々な取り組みで20%削減したい。サマータイムは有効なら来年度以降も検討したい」としている。

 上智大学は、当初7月25日までとしていた授業期間を2週間短縮し、7月11日までとすることを決めた。大学側は「7月は冷房などで大幅に電力使用が増加する。使用電力を抑え、教育研究活動を予定通りに運営することは非常に困難」と説明する。3年の男子学生は「長くなる夏休みを利用して旅行の計画をたてる学生もいる。でも試験も早まるので、その対策が大変です」と話している。

 文部科学省によると、東京電力と東北電力管内には、国公立、私立合わせて4年制大学が約300大学ある。政府の電力需給緊急対策本部の決定を受け、文科省は16日、各学長あてに今夏の使用最大電力の15%削減を求める通知を出した。付属病院がある大学は削減率が緩和される。(教育担当=山上浩二郎、泗水康信)

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