2011年5月30日21時54分
東日本大震災の津波は岩手県宮古市で海面(平均海水面)から40.5メートルの高さにまで到達していたと、全国の研究者でつくる「全国津波合同調査チーム」が分析し、事務局を務める京都大防災研究所の森信人准教授が30日、土木学会関西支部の報告会で発表した。
森准教授によると、調査チームは東京大、東北大、名古屋大、徳島大など全国の大学や建設会社などの48研究組織の147人からなる。大震災翌日から数人1組となり、全国約3600カ所で、津波の到達範囲や高さを調べた。
このうち、最も津波が高くまで来ていたのが、宮古市重茂姉吉地区だった。海岸から約520メートル離れた斜面の樹木に、津波で流された枝などがひっかかっていた高さが、海面から40.5メートルに達していた。およそ10階建てビルの高さに相当する。湾の中にあり、津波の高さが増幅されたとみられるという。
一方、宮城県では海岸から約11キロ内陸で、津波の痕跡が確認されたという。
また、調査チームによると、巨大な防波堤があった岩手県の釜石湾で内陸まで押し寄せた津波の高さは、ほかの湾と比べてはるかに低かったという。
調査チームは今後、分析結果をホームページ(http://www.coastal.jp/ttjt)で公表する。森准教授は「データを復興計画の作成にも役立てて欲しい」と話している。(石田耕一郎)