2011年5月30日17時0分
東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い、原発から約60キロ離れた福島市や福島県郡山市で、子どもを県外へ避難させる動きが続いている。
福島市教育委員会によると、住民票を残したまま市外に転校する「区域外就学」をした小中学生は4月から5月27日までに216人。このうち206人は海外2人を含む県外だ。
郡山市でも、市内の小中学校から県外への転校が、同市教委の調べで同13日までに403人にのぼった。
両市教委とも「放射能への不安から避難したケースが多い」とみる。
福島市内の自営業の男性(41)の家では、妻(41)と中学1年の長男(13)、小学4年の長女(10)が6月中旬、男性だけを残して京都市へ転居する予定だ。5月に入っても、県が発表する市内の放射線量は毎時1.76〜1.1マイクロシーベルトで、震災前の約30倍。「このまま住み続けたら、将来、子どもの健康にどんな影響が出るかわからない」と夫婦で話し合った。
夫婦とも福島で生まれ育った。親戚も友人もいない京都を選んだのは、福島原発から遠いうえ、被災者に1年間無料で提供する市営住宅が見つかったからだ。
子どもを避難させたい人に、受け入れ先を紹介する活動も出ている。1日に発足した「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」が29日に福島市内で開いた相談会には、約30組の夫婦と親子連れが訪れた。大半が20代〜40代。「仕事と家を捨てるわけにはいかない」という夫と離婚し、子どもを連れて県外に出るという女性もいた。
「移住したいが、ローンで家を購入したばかりで身動きがとれない」という相談も多かったという。(伊藤景子)