2011年5月30日13時54分
東京電力は30日、東電福島第一原子力発電所で作業していた男性社員2人が数百ミリシーベルトの放射線を浴びていた恐れがあると発表した。今回の作業で認められている被曝(ひばく)線量の上限250ミリシーベルトを超えた例はこれまでなかったが、この値を超えれば今後の作業はできなくなる。ただ急性症状が出る1千ミリシーベルトの被曝までには至らなそうだという。
東電によると、この2人は30代と40代の男性社員。今は原発を離れて作業に当たっていない。3月11日の地震発生時から5月下旬まで、3、4号機の中央制御室などでデータの確認作業などをしていた。地震直後には、マスクを付けていなかった。放射性ヨウ素が甲状腺に取り込まれるのを防ぐ安定ヨウ素剤を飲んだのは3月13日だった。
4月から5月にかけて、2人の全身を検査したところ、内部被曝の量が多い可能性が高いことが分かった。今月23日に体内の放射性物質の量を詳しく調べたところ、甲状腺から、それぞれ9760ベクレル、7690ベクレルのヨウ素131が確認されたという。放射性物質は時間の経過に伴い減る性質(半減期)があり、吸い込んだのが地震直後だとすると、逆算した数値は高いとみられる。「被曝量は数百ミリシーベルトになるかもしれない」という。
体の外から放射線を浴びる外部被曝は、30代男性が73.71ミリシーベルトで、40代男性が88.7ミリシーベルト。2人は放射線医学総合研究所で診断を受けるが、今のところ健康に問題は見られないという。今後、放射性物質を取り込んだ経緯などを調べる。
松本純一・東電原子力・立地本部長代理は会見で「直ちに健康に影響はなく、緊急時医療が必要なケースではなかった」としている。(小宮山亮磨、高山裕喜)