2011年5月30日20時13分
東京電力は30日、東電福島第一原子力発電所1号機の原子炉建屋地下にたまっている水が急激に増えていると発表した。同日午前7時までの24時間に水位が198ミリ上昇、深さは5.7メートルになった。前日の上昇は11ミリで増え方は18倍。降雨で流れ込んだ水が影響していると考えられるという。
同原発では、原子炉内に注水している水が何らかの経路で建屋などに流れ込んでいると見られている。東電はたまった水を近くの集中廃棄物処理施設に移送している。
東電によると、30日午後5時までの10時間に、1号機原子炉建屋にたまっている水の水位が184ミリ増えたほか、タービン建屋も2号機が43ミリ、3号機が32ミリ、4号機が31ミリ上昇。降雨の影響で全般的に上昇する傾向にあるという。
同原発では雨の流入を防ぐため、建屋の入り口に土嚢(どのう)を積むなどの対策を取っている。しかし、1号機は爆発で原子炉建屋の屋根が吹き飛んでおり、雨がそのまま屋根付近から建屋内に流れ込んでいるという。
これまで1号機のタービン建屋地下の水は、あまり汚染されていないが、原子炉建屋地下の水位が上がれば、2、3号機と同様に高濃度の汚染水が「下流」にあたるタービン建屋側に流れ込み、汚染範囲を広げるおそれがある。
今後、降雨による流入量が増えると、作業に影響を与える可能性もあるが、東電は「高濃度の汚染水に雨水が混じることで、処理量が増える可能性はあるが、工程が延びるほどの影響ではないと見ている」としている。(西川迅)