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思い出の写真、津波の汚れ落としに富士フイルム乗り出す

2011年5月30日8時16分

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写真:ボランティアの大塚敦子さんに写真の扱い方を教える富士フイルムの前嶋邦男さん(右)=29日、宮城県南三陸町拡大ボランティアの大塚敦子さんに写真の扱い方を教える富士フイルムの前嶋邦男さん(右)=29日、宮城県南三陸町

 東日本大震災で津波にのまれ、汚れてしまった思い出の写真。その洗い方を教えるボランティア活動に、富士フイルムが本格的に乗り出した。夏に向け、気温が上昇して劣化が早まるこれからが正念場だからだ。29日も、社員が休日返上で宮城県南三陸町を訪れた。

 南三陸町歌津地区にあるボランティア団体「RQ市民災害救援センター」の支援拠点。「写真の表面がはがれないように。慎重に」。指導役の富士フイルムの前嶋邦男さん(55)はそう言って、アルバムのビニールカバーが張り付いた写真をぬるま湯につけ、カバーをそっとめくった。

 ビニールだけがきれいにむけ、周囲のボランティアから歓声がわいた。泥などは、ぬるま湯の中で写真を揺らしたり、たたいたりして落とすのがこつだ。

 この支援拠点だけで、津波の後片付けの際に見つけて持ち帰ってきた写真は数千枚以上ある。指導を受けたボランティアの大塚敦子さん(51)は「扱い方が分からなかったので、とても参考になった」と喜ぶ。洗った写真は展示し、被災者に探しに来てもらう。

 同社は4月下旬から、被災地の要望に応じて岩手、宮城、福島3県の約30カ所で写真の洗い方を教えてきた。しかし、これから気温が上がると、写真表面のゼラチン質を食べるバクテリアの繁殖が早まる。

 そこで今月下旬からは、被災地の自治体や避難所に汚れた写真の有無を同社から問い合わせ、週末に社員を送り込むことにした。前嶋さんは「一枚でも多く持ち主に返したい」と話す。問い合わせは同社の相談窓口(0120・166・557)。(牧内昇平)

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