2011年5月28日19時56分
文部科学省は子どもの年間被曝(ひばく)量の目安だった「20ミリシーベルト以下」を、「1ミリ以下を目指す」と変更し、すべての学校など約1800施設に線量計を配り始めた。背景には、不安を隠せない保護者の声がある。
福島県郡山市では、文科省の校庭使用制限の基準を下回った校庭でも、独自の判断で表土を除去。同様の動きは近隣の自治体にも広がっている。福島市などは「屋外で肌をさらすのは心配だ」といった保護者の声を受け、公立小中学校の屋外プールでの授業の中止を決めている。
県教委学校生活健康課の池田健一郎主幹は「(国の基準は)様々な知見に基づいて示されたもの。尊重はするが、保護者の不安の声に対し、どう安心を確保してゆくのかは常に課題だ」と言う。
郡山市教委学校管理課の渡辺幸典課長も「国の基準が揺らげば対策を考え直さないといけなくなる。しっかりした基準を示して欲しい」と求める。
一方、県内の小中学校でスクールカウンセラーをする県臨床心理士会・東日本大震災対策プロジェクトの大森恵栄子副代表は「児童や生徒が先の見えない不安にさらされているように思う。長期化すればストレスも大きくなる」と心配する。(川口敦子、古庄暢)