2011年5月28日13時31分
東京電力は28日、福島第一原発の敷地内で事故直後に実施した放射線のモニタリング(監視)で未公開だったデータを公表した。10分おきで公開していた数値の間を埋めるデータなどで、高い値は経済産業省原子力安全・保安院に報告し、公表されていたとしている。東電は「手作業だったため整理に時間がかかった。隠す意図はなかった」としている。
データの未公開は27日に東電が明らかにしていた。公表まで2カ月以上かかった経緯について担当者らに聞き取り調査するという。
東電によるとモニタリング結果は地震のあった3月11日午後5時半からホームページに掲載を始めた。このうち11日から20日までの分に、公表漏れや値や場所の記載ミスがあった。未公表の数値は1509あった。測っていても掲載していなかったり、2分おきに測っていたのに10分おきの値だけにしたりしていた地点があった。
最高値は15日午前9時の正門付近の毎時1万1930マイクロシーベルト(約12ミリシーベルト)で従来の公開されている値と変わらないが、中性子を計測した回数は13回から22回に増えた。
当時は停電で常設のモニタリング装置が使えず移動式の車などで計測、放射線管理員が手作業で集約していた。1台の車は2分おきに計測していたが、通常のやり方に合わせ10分おきで公表したという。作業員が測りにいったケースでも公表に漏れがあった。
原発と本店の放射線管理部門ではデータのやり取りができており、保安院にも報告していたが、東電の広報部門とのやり取りが不十分だったという。中性子の計測回数に違いがあったことから、3月下旬に調査を始めたという。(佐々木英輔)