2011年5月27日12時17分
農林水産省は27日、東日本大震災の津波による水産業の被害額(16日現在)が、8952億円にのぼったとする2010年度の水産白書を発表した。岩手、宮城、福島3県を中心に、319漁港で約6400億円の被害が出るなどした。
漁船は、津波で2万隻余りが陸に乗り上げたり海に流されたりして、約1300億円の被害。水産加工施設も、宮城県で400を超える工場のうち半数以上が全半壊するなど、生産基盤の多くが失われた。漁港被害は、復旧・修復すると仮定し、それにかかる金額をはじいた。
青森県から千葉県にかけての太平洋側の漁業・養殖業は、全国の生産量の24%(127万トン)を占めており、農水省は早期の復興が重要だと指摘している。
また、白書によると09年の国内漁業・養殖業の生産額は、魚価が安値で推移したことなどから、前年比9.5%減の1兆4730億円と落ち込んだ。漁業就業者数は4.6%減の21万2千人で、減少に歯止めはかかっていない。
09年度の魚介類の自給率は62%で、3年連続の横ばいだった。国民1人あたりの魚の摂取量は06年に初めて肉を下回り、その後も減り続けており、白書は若い世代の魚離れに懸念も示した。