2011年5月27日12時10分
枝野幸男官房長官の27日午前9時45分の記者会見の内容は次の通り。
【閣議の概要】
「大臣発言として、蓮舫大臣から平成22(2010)年度食育推進政策、および食育月間の実施について。農林水産大臣から平成22年度水産白書について。総務大臣から消費者物価指数について。内閣総理大臣臨時代理の立場としての私から、海外出張不在中の臨時代理について申し上げた」
【震災ボランティアの確保】
「閣僚懇談会においては、私から東日本大震災の被災地におけるボランティアの確保について申し上げた。これについては一言付言する。
被災地においては地震発生以来、ボランティアの方々が泥の除去や炊き出しなど、被災地の生活支援に大変大きな役割を果たして頂いている。大変感謝申し上げる。今後は避難所や仮設住宅における被災者の心のケア、復興のためのまちづくりプランなど、その活動はさらに拡大し、かつ多様化することが見込まれる。地元などから寄せられている声の中にも、むしろこれからいよいよボランティアの皆さんの力を本格的にお借りしたいという状況に入ってきているという声なども頂いている。
政府としてはボランティアの受け入れ態勢の充実、ボランティアに参加しやすい環境づくりなどについて必要な措置を講じるとともに、関係方面への働きかけや情報提供などを行うことにより、被災地におけるボランティアの確保に努めてまいりたい。閣僚懇談会においては閣僚の皆さんに、まず国の行政機関の職員に対し、ボランティア休暇などを活用したボランティア活動への積極的な参加を呼びかけて頂きたい。また、それぞれの省庁、府省の関係団体、業界などにも働きかけて頂きたいとお願いしたところだ。
また、広い意味での政府広報などを通じて、国民の皆さんにボランティア活動へのご協力についてさらに強化して呼びかけてまいりたい」
【総合海洋政策本部】
「閣議に先立って行われた第8回総合海洋政策本部会合について。本日の本部会合では、昨年7月に閣議決定した低潮線保全基本計画に関し、一つには平成22年度における進捗(しんちょく)状況の報告、二つ目に平成23年度における実施予定事項、具体的には、低潮線保全区域の指定や離島港湾施設の建設着手などについて了承された。三つ目には、海洋保護区の設定について了承された。今後とも、我が国が広大な海域を適切に管理しつつ、有効に利用していくため、関係府省が密に連携して取り組んでいくこととする」
【海水注入問題】
――海水注入の中断がなかったことで野党から批判が出ているが、間違った情報を国会に説明していたことについてどう理解求めるか。
「結果的に、政府が把握をして報告していた事項が事実と異なっていると。そのことは大変遺憾に思う。一方でこの間、政府としては様々な、特に原子力発電所に関する情報については、把握したものは隠すことなく国民の皆さん、あるいは国会にご報告をするという基本姿勢でやってきた。もちろん正しい情報であるのかどうかということについての精査をしっかりと行っていくことについての重要性は十分認識もしつつも、同時に、正しいかどうか確定が出来ないから報告ができないということでも、これまた国民の皆さんの不信を招くだろうと思う。
そうした意味では、得られた情報をできるだけすみやかに正確性についてチェックをするということにさらに努力する一方で、しかし一方では、入手した情報をできるだけすみやかに公開をするということの両立を図るべくさらに努力していかねばならない」
――今日の閣議、閣僚懇談会でこれの経緯説明や話はあったのか。閣僚の意見は出たのか。
「基本的に閣議、閣僚懇の内容は報告しないことが基本になっているが、海江田大臣からこの間の海水注入についての経緯をご報告して閣僚で情報共有した」
【普天間移設をめぐる日米合意1年】
――5月28日は民主党政権が普天間移設の日米合意を結んでから1年。実現の見通しが立たない状況をどうみているか。
「日米合意については、合意をした相手である米国との関係においては、それに基づいた様々な行動ができるだけ速やかに進むのが望ましい一方で、特に沖縄の皆さんには、この間様々なご迷惑をおかけしている状況の中では、丁寧にご理解を求めていくというプロセス、そのための一定の時間が必要であろうと思う。
この1年、沖縄の皆さんのご理解を得るべく、決してこれは簡単なことではないと十分承知しているが、時間をかけて理解を頂けるよう努力してきた1年間だった」
【日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)】
――閣議後に北沢防衛相と会談していたが、昨日の日米首脳会談で6月下旬の2プラス2を確認したが、それについての話だったのか。
「むしろ北沢大臣と話したのは、その前になると思うが、シャングリラでの防衛関係大臣会合に向けた若干のご相談をした」
――2プラス2では、日本政府としては日米合意を順守していくという姿勢で臨むということでいいのか。
「国と国との、しかも様々な経緯があったなかでの合意なので、これをしっかりと踏まえて対応していく姿勢は変わっていない」
【不信任政局】
――自公の幹部会合で、来週にも内閣不信任案を提出することを確認。与党内にも賛成の動きがあるが、政府はどう対応するのか。
「国会に不信任案を提出する権利、権限は野党として当然に持っている。それをどういった状況のもとで、どういった時期のもとで出すのかということについては、まさに野党の皆さんの主体的なご判断だと言うしかない。
ただ、菅内閣としては被災者の皆さん、あるいは原発事故の影響を受けている皆さんに対して、決してご満足頂けるような対応ができていると言うつもりはないが、最大限の努力をして震災からの復旧復興と原発事故の収束、その被害を受けられた皆さんに対する支援や賠償に向けた努力をまさに日々進めている状況のもとにあって、これについて与えられた職務として最大限を尽くしていくことに尽きる」
【普天間問題】
――普天間問題で、先ほど言った「一定の時間が必要」とはどれくらいか。
「私が『一定の時間が必要だ』と言ったのは、具体的にどれくらいの時間ということを想定して言ったのではない。ご理解を頂くというためには、何か一つのご説明をしたらそれでご理解頂けるという性格のものではないので、一定の時間がまさに必要だと申しあげた。具体的に時期を想定して申し上げたものではない」
【不信任政局】
――不信任案について、今回の震災が首相の持つ解散権に何らか影響があると考えるか。
「全く影響するものではない」
【海水注入問題】
――海水注入が実は継続されていたと断言するだけの客観的データが十分示されていない、との見方もあるが。
「最初の質問とも関連するが、政府として得られた情報について、全てについて確実な裏付けをとることが、残念ながらできない状況にある。例えば、最近では各原子炉の燃料の全体が溶けているのではないかというのも、専門家の皆さんの分析、推測だ。
ただ、まさに国民の皆さんの広い意味では健康、生命にかかわる重大事項、関心の高い事項であるので、私どもの立場としては得られた情報については余程の疑いの高いものとか、確度の低いものについては別だが、一定の確度があるものについてはしっかりと公開というか説明をするのがむしろ責任、役割であって、裏付けがとれてないから出さないということでは逆に情報を隠すことになってしまう。
もちろん、政府としてその情報が正確なものであるかについての確認については、今後さらに一層留意をしなければいけないと思うが、東京電力において責任を持って吉田所長などにヒアリングを行って報告されていることなので、少なくとも報告するべき程度の確実性はあるものと思う」