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出張解禁、理容師も再建へ一歩 岩手、国が規制緩和

2011年5月27日7時37分

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写真:拾い集めた理髪道具をかごに入れ、客の髪を切る菅野マツ子さん=26日午前10時31分、岩手県陸前高田市、上田潤撮影拡大拾い集めた理髪道具をかごに入れ、客の髪を切る菅野マツ子さん=26日午前10時31分、岩手県陸前高田市、上田潤撮影

 震災で店を失った理容師らが避難所や仮設住宅に出張して営業できるよう、厚生労働省が初めて規制緩和をし、第1号の出前散髪が26日、岩手県内であった。これまで店外ではボランティアの理髪しか行えず、再建に必要な生活の糧を得られなかった。宮城、福島県でも近く実施される。

 理容師の菅野マツ子さん(61)は26日午前、自身が避難生活を送る岩手県陸前高田市の慈恩寺の本堂前で最初のお客さんを迎えた。

 全壊した店の跡からハサミやバリカンを見つけ、避難所や被災者宅を回り手弁当で散髪を続けてきた。訪問理容では、1人1500〜2千円で営業をする。「生活を立て直す足がかりになりそうでうれしい」

 最初のお客となった常連で被災者の熊谷芳正さん(59)は震災後初めての散髪。「肩まで伸ばそうかと思っていたけど、なじみの床屋さんに切ってもらえてさっぱりした」と笑った。

 理容師法では、衛生面などの理由で、都道府県に届け出た理容所以外での営業を原則的に禁じている。店舗が被災した理容師は散髪で報酬を得ることができず、営業開始や生活再建の足かせとなっていた。全国理容生活衛生同業組合連合会(全理連)の調べでは、少なくとも岩手県で166店、宮城県250店、福島県221店の合計637店(5月18日現在)が被災して営業できない状態だ。

 厚労省は4月末、被災した理容師の再建を後押しするため、規制緩和に踏み切った。被災して店舗営業できない場合、訪問営業を許可。2年限りの特例措置で、理容師の再建状況を見極めた上で、延長するかどうか、判断するという。

 無料で散髪をするボランティアの理容師については、被災地の理容営業を始動させるために5月いっぱいで終えるよう、全理連が被災3県の組合に促していた。6月からは理容師の訪問営業が本格化する。

 さらに、津波などでハサミなどの理容道具をなくしてしまった理容師が多数いるため、全理連は道具一式を購入し、発送した。厚労省も補助する方針だ。23日には岩手、宮城、福島県理容生活衛生同業組合にそれぞれ道具100セットが届いた。ハサミやバリカン、カミソリ、消毒容器などで、各組合が被災した理容師に渡し、足りない場合は追加で購入するという。(沢伸也、山西厚)

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