2011年5月27日1時39分
菅直人首相は26日、仏ドービルで開かれた主要国首脳会議(G8サミット)の昼食会冒頭で演説し、来年後半に国際原子力機関(IAEA)と共催で原子力安全に関する国際会議を日本で開くことを提案した。
この国際会議の対象国はG8だけでなく、各国に幅広く閣僚級の参加を呼びかける考えだ。
菅政権では、東京電力福島第一原子力発電所事故の事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東大名誉教授)が来年夏に最終報告をまとめることを想定。この検証結果をもとに原子力安全の国際的な議論を主導する狙いがある。
また、首相は原発事故を受けて、再生可能な自然エネルギーの利用を拡大する方針を強調。発電割合を「2020年代の出来るだけ早い時期に、少なくとも20%を超える」と引き上げ目標を語った。仏到着当初の経済協力開発機構(OECD)の行事での講演では「20%とする」としていた。
具体的には、太陽光発電のコストを20年に現在の3分の1に、30年には6分の1まで引き下げ、国内の1千万戸の家庭の屋根に太陽光パネルの設置をめざす方針を打ち出した。ほかに大型洋上風力発電、次世代バイオマス(生物資源)燃料、地熱発電の開発も進めると強調した。
首相は原発事故について「国際社会に心配をおかけしたことを重く受け止め、遺憾の意を表します」と陳謝。事故収束の見通しを「来年1月までに放射性物質の放出を抑制、管理し、工程表に従って安定状況に持っていきたい」と述べた。事故情報については「透明性をもってすべて公開する」と宣言。世界最高水準の原子力安全をめざす姿勢を強調し、IAEAを中心とした原子力安全基準の指針策定に「最大限貢献する」と語った。
この後、首相は26日夕(日本時間27日未明)に米国のオバマ大統領と日米首脳会談を行った。冒頭、オバマ大統領は「どれだけ時間がかかっても日本の復旧を支援する」と語り、首相は「一連の米国の行動を通して日米同盟の絆の深さを感じた。深く感謝している」などと応じた。首相は環太平洋経済連携協定(TPP)について「震災で少し遅れているが、そう遠くない時期に方針を固めたい」と述べた。(ドービル=坂尻顕吾)