2011年5月27日9時45分
仏北部ドービルで開幕した主要国首脳会議(G8サミット)で26日午後(日本時間同日夜)、原子力発電所の安全性に関して議論があり、東京電力福島第一原発の事故を踏まえ、国際原子力機関(IAEA)の機能を強化することで各国首脳が合意した。27日、共同宣言を出す。
議長の仏サルコジ大統領が「原発は価格ではなく安全性が何より優先されるべきで、各国とも最高水準の原子力発電の安全性が求められる」との意見を表明。IAEAの機能を高め、原発の安全強化を図ることで各国とも意見が一致した。
また、年末に予定されている国連の気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)で、地球温暖化防止に向けた次期枠組みの合意をめざすとともに、「G8のすべての国が再生可能エネルギーの開発を進めるのは不可欠だと思っている」と述べた。
菅直人首相は会議の席上で福島第一原発の事故を世界の教訓とするよう、情報公開の徹底を表明。原発の安全を図るため、(1)IAEAによる安全指針の強化(2)IAEAによる安全評価のしくみの拡充(3)緊急時における対応ネットワークの強化(4)原子力安全規制当局の国際連携(5)原子力事故の早期通報条約など原子力安全関連条約の拡充――の五つを提案した。
各国首脳は、IAEAの安全指針の拡充や、条約に基づいた事故通報のしくみを充実させて条約参加国を増やすことなどに合意。27日午後に出される共同宣言に盛り込むことになった。(ドービル=坪谷英紀)