2011年5月26日15時1分
連合(古賀伸明会長)は東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて原発推進政策を凍結し、新規立地・増設を「着実に進める」としてきた方針を見直す。26日午後の中央執行委員会で決定する。民主党の有力な支持団体だけに、民主党政権のエネルギー政策に影響するのは必至だ。
連合は中央執行委に提出する文書で、原子力エネルギー政策について「より高度な安全確保体制の確立、地域住民の理解・合意という前提条件が確保され難い状況に鑑み、凍結する」と明記し、原発政策の総点検・見直しに着手する方針を打ち出す。新増設推進の姿勢を改め、当面は政府のエネルギー政策見直しの行方を見守る姿勢に転じる。
連合は昨年8月、傘下の労組間で意見が割れていた原発政策について、初めて「推進」を明確に打ち出したばかりだった。
このときにまとめた「エネルギー政策に対する連合の考え方」では、「現在計画中の原子力発電所の新増設については、地域住民の理解・合意と幅広い国民の理解を前提に、これを着実に進める」として推進の姿勢を鮮明に掲げていた。電力系労組などの意向を強く反映したもので、古賀会長は当時の記者会見で「これまでの政策から一歩踏み込んだ方向性が出た」と述べていた。
しかし、今回の原発事故を受けて見直しは避けられないと判断。1年もたたないうちに軌道修正を迫られた。
連合が原発推進方針を凍結したことは、菅直人首相が意欲を見せるエネルギー政策の転換を後押ししそうだ。民主党内の原発推進派の発言力を弱め、自然エネルギーの活用などを進める環境が整う可能性がある。(関根慎一)