2011年5月26日1時19分
菅直人首相は25日午後(日本時間同)、訪問先のパリでサルコジ仏大統領と会談した。首相は原子力の安全性向上に努める考えを示し、安全を確保した原発は活用する姿勢を表明。今後のエネルギー政策について、再生可能な自然エネルギーの利用拡大を図る方針も伝えた。
日本側の説明によると、首相は東京電力福島第一原発の事故について「事故収束に向けた工程表に沿って来年1月までに(原子炉を)冷温停止にしていきたい。事故の情報と教訓を国際社会と共有して国際的な議論を先導したい」と説明。「原子力は事故の検証を踏まえ、一層の安全性を確保したうえで活用していく考えだ」とした。サルコジ氏は「原子力か、原子力でないかという二者択一の議論ではない。日仏は、原子力の将来についても協力をしっかりしていきたい」などと応じたという。
首相は自然エネルギーのさらなる活用も唱えたが、原発推進の仏側との間でエネルギー政策をめぐる突っ込んだ議論は両首脳とも避けた模様だ。
また、首相は国際結婚が破綻(はたん)した夫婦の子どもの処遇を定めたハーグ条約について菅内閣が加盟方針を決めたことを伝え、サルコジ氏は「両国関係にとって大事な課題であり、感謝する」と語った。両首脳は、安全保障情勢や国連改革などに関する外相級の戦略対話を始めることでも合意した。首相はこれに先立ち、内政担当のフィヨン首相とも会談した。(パリ=坂尻顕吾)