2011年5月25日12時34分
枝野幸男官房長官の25日午前11時の記者会見の内容は次の通り。
【電力使用制限令】
「東京電力及び東北電力管内の電気の使用制限については、5月13日の電力需給緊急対策本部の決定に基づき、準備の作業を進めてきたが、6月1日に関係の告示を行い、東京電力管内では7月1日から9月22日、東北電力管内では7月1日から9月9日の平日9時から20時の間実施することにした。
対象は大口の需要家で、昨年のピーク時の使用電力の15%削減をお願いすることになる。これは、需要家の方々の自主的な取り組みを尊重しつつ、実際に大変積極的に自主的な取り組みを進めてもらっているところだが、需要家間の公平性の確保、つまり自主的にしっかりと削減をして頂く大部分の需要家がいる一方、そうしたことをされない方が出ると、いわば『正直者が馬鹿をみる』みたいなことになってはいけないということで、補完的な措置として実施する。なお当然のことながら、医療施設のような生命、身体にかかわる施設などについては、例外的な扱いを認める予定だ」
【国際通貨基金(IMF)人事】
――IMFのストロスカーン専務理事の後任人事について、菅首相は欧州出身者にこだわらない考え方を示したが、日本政府の考え方は。
「総理の取材に対する答えの仕方の具体的な中身まで承知していないが、政府としてはしっかりとした能力、見識の高い方になって頂きたいということに尽きる」
――新興国からは、欧州以外から選ぶべきだとの声明も出ているが、日本から立候補するなどの考えはないか。
「能力、見識に優れて最も適切な方が選ばれるよう、日本政府として対応したい」
【原発事故の海水注入問題】
――東京電力が3月12日午後3時20分ごろ、経済産業省原子力安全・保安院に対して海水注入を事前に報告したという報道があるが、これについて政府はどう認識しているか。
「一部報道で発言が矛盾しているという風に報道されているが、全く矛盾していない。そもそも夕方6時の打ち合わせにおいても、東京電力から、海水注入の準備をしているが、もうしばらく時間がかかるという報告を受けている。それに先立って、保安院に対して、そのような趣旨の報告があったということは報告を受けている」
――それは、今までの話と矛盾しないか。
「だって6時の打ち合わせの時に海水注入の準備進めているがまだ時間がかかるということが、東京電力からその打ち合わせの場で報告を受けている。それに先だって、準備ができたら海水注入したいという報告があったのは全く矛盾しない」
――首相は海水注入を知らなかったと。
「海水注入が実施されたことについて報告がなかった。実際に水を入れ始めましたということの報告は全く聞いていない」
【電力使用制限令】
――電力制限について、医療機関以外で配慮するのは。
「先ほど、生命身体に関わる施設などと読み上げたが、様々な状況、事情を踏まえて、必要な部分について対応することで、詳細は経済産業相から発表する」
【原発事故の検証】
――国会での原発事故調査委員会について協力するということだが、複数の調査委で検証することをどう考えるか。
「国会でも答弁した通り、いろいろ立場からの検証がなされるということは有益なことだ。現に国際原子力機関(IAEA)からも調査団が来ている。国際的にも検証して頂いて、様々今後の教訓になることがあれば生かして頂きたい。そうしたことに資するように、情報公開は進めてまいりたい」
【海水注入問題】
――海水注入を実施するかしないかの指示を、なぜ出せなかったのか。
「待ってくれという指示を出す状況じゃなくて、6時の段階で海水注入を準備しているけれどもまだしばらく時間がかかると。時間がかかるならば、万が一のリスクがないかというようなことで再臨界の話などについても可能性がないかという議論になったと報告を受けている。海水注入を止めるべきだという議論自体が、そもそも存在していない」
――報告から6時までに議論できる状況ではなかったのか。
「正確にその日の何時に何があったかということについて、いま手元に資料がないが、確かあの日は後になって水素爆発と判明する爆発であるとか、党首会談とかがあった。総理の下での相談が6時になったということは、自然なことではないか。もし、それを逆に海水注入すべきではないというような性格のものであるならば、こんな報告が来ているんだけどもということで、急いで相談する必要があったかもしれないが、水を入れるべきだということはほぼみんなが共有している状況だ。
こういう報告が来ていると、実際に東電の方も準備をしているけども時間がかかるということがあって、それならその間に万が一のリスクがないかということを改めて確認していたということは、自然の流れじゃないか」
【東京電力をめぐる債権放棄】
――東電支援の前提として、金融機関による債権放棄を求めているのか。
「それぞれの企業、組織において、様々な客観的な事情を自主的にご判断されることだ」
――債権放棄は支援の条件にしないとも言っているが、金融機関に本気で求めるのかどうか分からない。
「現時点では、東京電力も国からの支援を受けないと賠償ができないという事情にあるが、現時点では民間企業だ。その民間と民間の金融機関との関係だ。政府として直接的に何か、『ああしろ、こうしろ』という指示をするつもりはない。
しかしながら、政府として支援をするにあたっては、様々な前提条件がクリアされなければいけない。東京電力において適切にステークホルダーの皆さんに協力を求めることは約束頂いている。それを報告頂くことも約束頂いている。報告を受ければ国民に公開する。それを踏まえて国民がどう判断するか。そうしたことについて、それぞれのステークホルダーの皆さんがどう判断されるかということは、それぞれ自主的に判断されると思う」
――債権放棄しない場合になったら、求めないのか。
「仮定のお尋ねにはお答えすべきでない」