2011年5月24日10時43分
文部科学省は24日、全国の公立学校施設の耐震化を2015年度までに完了させる方針を発表した。地域の避難所としての学校の役割も重視し、貯水槽や自家発電装置の整備も進めるという。
方針は耐震化完了の目標を「15年度までのできるだけ早い時期」と明記し、学校耐震化の達成目標時期を初めて示した。
全国の公立小中学校の耐震化率は、10年4月の時点で73.3%。都道府県により50〜90%台と開きがあることなどが課題だった。今年度の第1次補正予算に盛り込まれた耐震化事業が実施されれば率は約86%に向上する見通しだが、全校の耐震化を急ぐよう都道府県に促すことにした。都道府県側にも東日本大震災を受けて耐震化を前倒しで実施する動きが出ているという。費用は最大で3分の2を国が助成する。
また、被災地で大半の学校が地域の避難所として活用されたことをふまえ、地域の避難所としての学校の機能を強化。貯水槽や備蓄倉庫、屋外などのトイレ、自家発電装置を整備する考えだ。
さらに、震災で大型施設の天井落下による死傷者が出たことを教訓に、天井や外壁などの耐震化の必要性も明記した。子どもが急増した1970年代ごろに建てられた学校も多く、老朽化対策も重要課題として取り組むという。沿岸部では津波に備えて児童生徒の避難経路を確保することも求めている。(井上裕一)