2011年5月23日19時3分
東京都文京区の東京大地震研究所に設置された約80年前に開発されたアンティーク地震計が、東日本大震災を起こした地震(マグニチュード〈M〉9.0)の揺れを捉えていた。
この地震計は、地震研の第2代所長の石本巳四雄(みしお)博士が1933年に原型を完成させた石本式加速度計。地震による上下の加速度を記録する。長年使われていなかったが、技術職員の渡辺篤志さんらが2008年に修復し教材として使っている。詳しい製造年はわかっていない。
石油ランプのすすをつけた厚紙をまきつけたドラムを、20分間で1回転させながら、揺れを針で記録する。地震が起きると、針が表面のすすを削り取って揺れの強さが記録される。
厚紙の記録を地震研の纐纈(こうけつ)一起教授と読み解いたところ、最大約100ガルの加速度が記録されていた。現在使われているデジタル式の加速度計の記録と一致した。
石本式加速度計は、09年8月の駿河湾の地震(M6.5)も記録しており、その差は一目瞭然だった。
纐纈教授は「私もこの加速度計が現役のころは知らないが、現在の機器と変わらずきちっと記録されている」と感慨深げだった。(松尾一郎)