2011年5月23日12時25分
津波で宮城県気仙沼市港町の海岸沿いの県道に打ち上げられていた、長さ約60メートルのマグロはえ縄漁船が23日、起重機船のクレーンでつり上げられた。2カ月半ぶりに海に戻される。
マグロ船は「第3明神丸」(379トン)。この日、船の下の道路4カ所に穴を開けて鎖を通し、深田サルベージ建設(本社・大阪)の起重機船「富士」でつり上げた。約3時間かけて、約30メートル離れた海に着水させる。
マグロ船を所有する鈴幸漁業(同県女川町)の鈴木敬幸社長によると、4月5日にインド洋へ出漁する予定で、出漁準備のため気仙沼港に係留中だった。同社の「第1明神丸」も同港に係留中だったが、燃える漂流物に取り囲まれて焼失した。
鈴木社長は「第3明神丸は調べた結果、使えることが分かった。早く修理して漁を続けたい」と話す。深田サルベージ建設によると、「富士」は橋桁や沈没船の引き上げなどに使われる国内最大級の起重機船で、陸に打ち上げられた船をつり上げるのは初めてという。(掛園勝二郎)