2011年5月23日7時39分
かけがえのないペット。でも、避難所で飼うのは難しい……。東日本大震災の被災地で、ペットと過ごすことを優先して避難所を離れ、車や壊れかけた自宅などで生活する飼い主たちがいる。そんな人たちのために動物好きの写真家らが4月、支援団体をつくった。
名付けて「縁の下のチカラ持ち」。福岡市早良区の写真家、藤添(ふじそえ)尚子さんが仙台市の知人らとつくった。犬4匹と猫11匹を飼う藤添さんも震災以降、被災地のペットや飼い主たちの暮らしぶりが気になっていた。
3月末と4月末の2回、津波の被害が大きかった岩手県南部から宮城県北部の沿岸の避難所100カ所以上を車で回った。支援物資のほか、飼い主らにペットのえさやトイレ用品なども配り、飼育状況を調べた。
ペットが原因で孤立してしまう人がたくさんいた。「鳴き声がうるさい」「においが気になる」などと言われて避難所を離れ、車の中や津波の被害を受けた自宅に戻って暮らす人たち。避難所を離れて支援物資を受け取れず、情報から遮断されている人もいた。
宮城県南三陸町では、犬と猫を1匹ずつ飼う80代の女性に会った。地震で腕と腰を強打し、壊れかけた家で寝たきりで暮らしていた。「ペットが嫌がられる」と避難所へ行けず、親戚が時々買ってくる食料をペットと分け合っていた。
藤添さんは「被災した人もペットもリラックスして過ごせる環境作りができれば」と話す。活動の拠点を仙台に置き、ペットや飼い主支援のほか、ボランティアの派遣、避難所や自宅で支援が行き届かない人たちの生活を援助している。
支援物資やボランティアも受け付けている。詳しくはホームページ(http://ennnosita.web.fc2.com/)で。(溝越賢)