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福島・田村市の130人一時帰宅 防護服には暑さ対策も

2011年5月22日21時17分

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【動画】福島・田村市の130人一時帰宅

写真:一時帰宅を終え、荷物を持ってバスから降りる住民たち=22日午後1時16分、福島県田村市、金子淳撮影拡大一時帰宅を終え、荷物を持ってバスから降りる住民たち=22日午後1時16分、福島県田村市、金子淳撮影

写真:田村市と原発の位置拡大田村市と原発の位置

 東京電力福島第一原子力発電所から半径20キロ圏内の警戒区域に住む人たちの一時帰宅で22日、福島県田村市の76世帯、130人が自宅に戻った。川内、葛尾両村で実施された一時帰宅を受け、防護服の暑さ対策や救急車を配備する安全対策が新たにとられた。

 同市は東部にある都路地区の一部が警戒区域になっている。同市の一時帰宅は今回で終わる見通しで、25日からは富岡町など福島第一原発に近く、希望者の多い自治体の一時帰宅が始まる。

 住民は20キロ圏外にある体育館に集合。午前10時40分すぎから、8台のバスに分かれて自宅に向かった。出発前後に雨が降り出し、防護服の上から着るかっぱが配られた。親の墓参りをしたり、大事な品を持ち帰ったりして、決められた2時間を過ごした。

 国の現地対策本部によると、一時帰宅は現地に入っている気象庁職員の助言で、土砂降りでなければ実施する。一時帰宅の実施基準は、大気中の放射線量が毎時200マイクロシーベルト以下だが、今回は最も高かった地域で同1.13マイクロシーベルトだった。

 暑さ対策として、防護服をつなぎから上下が分離したタイプに変えた。これまでは気密性や放射性物質対策は優れていたが、「暑すぎる」「お年寄りには酷だ」などの意見が相次いでいた。住宅内ならトイレにも行けるようになった。

 新しい防護服は「動きやすい」との声もあったが、伯母の付き添いで一時帰宅した男性(38)は「つなぎよりはマシだと思うが、動くと蒸し暑い。気温の高い日は相当しんどいだろう」と話した。

 市の要望で急病などに備えて救急車1台も区域内に待機。緊急時に情報を知らせる広報車2台も巡回を続けた。救急車の出動はなかったが、農業吉田清作さん(62)は「万が一を考えれば、いるだけで安心感があった」と語った。

 これまでと同様、「滞在が2時間では短すぎる」「(持ち帰る荷物を入れるポリ袋が)こんなに入らないとは思わなかった」といった不満もあった。

 一時帰宅後の放射線量の検査が終わったのは午後3時前で、予定より1時間半ほど早かった。国の現地対策本部の上田英志・内閣府審議官は「防護服の変更は着替えの時間短縮にもなった」と話した。

 一時帰宅の対象は、警戒区域に全域または一部がかかる同県の9市町村。これまでに川内、葛尾両村の計99世帯162人が終了している。

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