2011年5月22日19時33分
震災で建物の7割近くが全壊した宮城県女川町で22日、新たな町づくりに向けた復興計画について、住民から意見を聞く公聴会が始まった。住宅地区を高台に集約する町の計画案に対し、参加者から異論が相次いだ。
女川町は震災による津波で中心部など沿岸地区が大きな被害を受けたため、町は、被災住宅を町内の6カ所ほどの高台に集約し、限られた予算でインフラ整備や医療サービスの充実を図りたい考えだ。
この日、説明が行われた町南部の牡鹿半島にある五部浦湾の沿岸では、七つの浜にそれぞれ7〜40世帯余の小さな集落がある。地区内で1カ所に住宅を集約する案が町側から示されると、参加者から「それぞれの集落の高台に住宅地を整備して」との要望が上がった。
カキやホタテの養殖で生計を立てる人が多く、地区幹部は「漁民は浜や船が見えるところに住まなければ、災害に対応できない」。漁業者の一人は「慣れ親しんだ先祖伝来の土地に帰ってくるとエネルギーが出る」と訴えた。
説明に当たった安住宣孝町長は「連携することを考えなければ」と言いながらも「地域で議論を続けてほしい」として結論は出さなかった。町は有識者を交えた復興計画策定委員会にはかり、8月までに結論を出したい考えだ。(川端俊一)