2011年5月22日15時38分
津波高の予測精度を上げるため、気象庁は、同庁や東京大学地震研究所などが沖合の海底に設置している水圧計を活用する方針を決めた。東日本大震災直後の約40分間、津波高の予測の修正が相次いだため。
気象庁は、日本近海の地震とそれによる津波の高さなどについてあらかじめ模擬計算して、データベース(DB)として保存。実際に発生した地震とDBを照らし合わせて、沿岸での津波の高さ、到達時間を予測し、津波警報・注意報を発令している。沖合10〜20キロの海面にある全地球測位システム(GPS)波浪計による実際の観測値で予測を調整している。
東日本大震災のあった3月11日、気象庁は地震発生3分後の午後2時49分に岩手県と福島県に高さ3メートル、宮城県に同6メートルの大津波警報を発令。しかし、GPS波浪計の値が急上昇したため、午後3時14分に岩手県と福島県各6メートル、宮城県10メートル以上と修正。同30分には3県とも10メートル以上と再修正した。
気象庁などによると、岩手・釜石沖約40キロと約70キロには海底水圧計が2台設置されており、GPS波浪計より震源に近かったため午後3時〜3時5分には最大の波が観測されていた。海底水圧計は、水圧の大小で波の高さを算出できるという。気象庁地震津波監視課は「より沖合にある海底水圧計を生かせば、津波の高さを数分早く修正できていた」と判断し、海底水圧計の利用を決めた。
海底水圧計は、北海道から四国沖30キロ以上に12台設置されており、同庁はすべてを活用する方針。(二階堂祐介)