2011年5月20日1時8分
東日本大震災の復興ビジョンを描く菅直人首相の諮問機関「復興構想会議」の五百旗頭(いおきべ)真議長(防衛大学校長)が18日、朝日新聞のインタビューに応じた。復興財源について「増税の可能性は排除しない」と語り、6月下旬の1次提言に向けて増税も視野に論議を進める意向を示した。
構想会議が先にまとめた「復興構想7原則」には、財源確保を念頭に「国民全体の連帯と分かち合い」との文言が盛り込まれている。これについて五百旗頭氏は「社会全体で(復興を)支えきろうという趣旨だ。財源論を否定したら、その瞬間に復興はうそになる」と強調。「国債も使わざるを得ないだろうし、償還をどうするかという中で、増税の可能性も否定できない」と述べた。
五百旗頭氏はまた、自民党の谷垣禎一総裁と石破茂政調会長に、構想会議で復興プランについて意見を述べるよう打診したことも明らかにした。「谷垣氏も石破氏も『イエス』だったと私は理解している」と語ったが、回答は保留されたままだという。
五百旗頭氏は、被災地の復旧対策を盛り込んだ4兆円規模の2011年度第1次補正予算が全会一致で可決、成立したことを高く評価。「災害の問題については、国民的観点から政略を入れずに協力してもらいたい。対抗して権力を奪い合うことばかりがテーゼになってしまった国は堕落している、と歴史学者、政治学者として思う」と指摘した。