2011年5月19日5時0分
東日本大震災での岩手、宮城、福島の3県の被災者に、県外の仮設住宅に入居した後に地元の仮設住宅に入り直すことを認める方針を国が決めた。国土交通省が18日、明らかにした。これまでは認められていなかった。
福島県では東京電力福島第一原発事故の影響で、岩手、宮城両県は津波で被害を受け、地元を離れて県外の仮設住宅に入った人が多い。地元に仮設住宅ができるのを待って避難所暮らしをする被災者もいる。国はこうした状況の打開を狙っており、今回の方針を3県に伝えた。
厚生労働省によると、仮設住宅について定める災害救助法は「現に救助を必要とする者」を入居者として規定。仮設住宅に一度入れば、別の場所の仮設に移ることは事実上認めていなかった。被災者が地元以外の仮設住宅に入ることを想定できなかったからだ。
同省の担当者は「住み慣れた場所にいられなくなった人は大勢いる。被害の実態を踏まえ、地元を離れた人でも地元に戻れるようにしたかった」と話す。
菅直人首相は「お盆までに希望者全員が仮設住宅に入居できるようにする」という目標を掲げ、生活環境の厳しい避難所の解消を急いでいる。
県外の仮設住宅には、自治体が借り上げた民間賃貸住宅や公営住宅も含まれる。入居後、地元に新設された仮設への転居を望めば、国は原則認める方針だ。
国はまた、福島第一原発から20〜30キロ圏内の「緊急時避難準備区域」について、成人の単身世帯など自力で避難できる世帯を対象に、自治体が仮設住宅がわりに借り上げた民間賃貸住宅で暮らすことを認めることも決めた。(坂田達郎)