2011年5月18日21時43分
九州電力の真部利応(まなべ・としお)社長は18日の記者会見で、7月から最大15%の節電を企業や家庭に求める方針を明らかにした。定期検査中の玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開が、佐賀県などとの調整の遅れで7月以降にずれ込むほか、火力発電に使う燃料の調達が難航。冷房需要が増える夏の電力の供給不足を防ぐねらいだ。
真部社長は「原発の再開や燃料調達に全力を尽くしているが、電力不足で大停電を起こすことは絶対に避けたい」と述べ、本格的な節電に理解を求めた。すでに、JR九州や西日本鉄道は運行本数の削減などを検討。「夏休みを長くしたり、休日を入れ替えたりするなど工夫をお願いしたい」(真部社長)としており、くらしや企業活動に大きな影響を与えそうだ。
九電は6月半ばまでに具体的な節電計画をつくり、大口利用者などとの調整を始める。節電期間は暑さがピークをすぎる9月下旬までを予定している。
政府は、東日本大震災で発電所が被災した東京電力と東北電力管内で、ピーク時の最大使用電力を一律15%減らす節電計画を決めた。九電の節電計画は、電力使用量そのものを最大で15%減らすものだ。
九電はこの夏の最大電力需要を1669万キロワットと見込む。定期検査中の玄海2、3号機と川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1号機が運転を再開できない場合、供給能力は1728万キロワットとなり、3%程度しか余裕がない。
九電は火力の発電量を増やす方針だったが、資源価格の高騰で石油や液化天然ガス(LNG)の調達が難航し、「7月中旬以降の燃料を確保できていない」(真部社長)という。
このため、7月から本格的な節電に取り組んで火力用燃料を節約し、8月のピーク時に備える。九電は玄海2、3号機の運転再開や燃料調達にめどが立てば、節電計画の内容を見直す方針だ。(大畑滋生)