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津波6時間後には放射能漏れ 1号機、水素爆発の兆候か

2011年5月18日15時0分

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図:水素漏出のイメージ拡大水素漏出のイメージ

 東日本大震災で被災した東京電力福島第一原子力発電所1号機で、津波が到達した6時間余り後には、原子炉建屋内に放射性物質が漏れ出ていたことが東電の公表資料でわかった。建屋内側の格納容器が損傷し、水素も一緒に漏れ出ていた可能性が高い。1号機では格納容器内の排気(ベント)が遅れ、翌12日の実施後まもなく水素爆発が起きたが、ベントが早ければ爆発を防げた可能性もあり、東電の対応が検証課題になりそうだ。

 1号機へは3月11日午後3時半ごろ津波が到達。東電が16日に公表した1号機中央制御室の資料によると、午後9時51分、原子炉建屋で放射線が検出されて立ち入りが禁じられた。

 検出量は10秒間で0.8ミリシーベルト。毎時に換算して約290ミリシーベルト。今回の事故で認められた作業員の被曝(ひばく)限度(250ミリシーベルト)に1時間弱で達する高い値だ。

 東電の解析では、この時点では圧力容器内の燃料が空だきになり、大量の水素ガスが発生、外側の格納容器に放射性物質とともに漏れていたとみられている。格納容器では、容器の壁を貫く配管や電線などが高温、高圧の蒸気にさらされて貫通部にすき間が生じていた可能性がある。

 明治大学の勝田忠広准教授(原子力工学)は「1号機のような『マーク1(ワン)』と呼ばれるタイプの原子炉の格納容器は、圧力容器との間の容積が小さく、事故でガスが出ると圧力が高まりやすい。高温、高圧のガスで配管の貫通部にすき間が生じ、漏れ出た可能性が高い」と指摘。東電の担当者も「圧力容器の圧力はすでに高まっており、(圧力容器から)核生成物を含んだ蒸気や水素が格納容器と原子炉建屋へ漏れ出していると考えられる」と認める。

 1号機で水素爆発が起きた結果、大量の放射性物質が放出されただけでなく、衝撃で機器や配管が損傷し、高濃度の汚染水が漏れ出て建屋内外を汚染し、その後の復旧の大きな壁になっている。

 勝田准教授は「東電は早い段階で水素爆発を予想して対応すべきだった」と話している。(小堀龍之、杉本崇)

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